鄙乃里

地域から見た日本古代史

2022-01-01から1年間の記事一覧

霊の洞窟・曲水の石庭 秋芳洞と漢陽寺

秋芳洞 秋芳洞は、山口県美祢市(みねし)の秋吉台南麓にある有名な鍾乳洞。 入り口の高さは24m、幅は8m、全長10kmあり、内部は石灰華の段丘や黄金柱など変化に富んで神秘、まさに霊の洞窟といった感じです。 ちょっと意外だったのは、秋芳洞の命名者が昭和…

大内文化が花開く西の京都 山口市

山口市について 山口市は山口県のほぼ中央に位置する県都で,昔は周防国吉敷郡(よしきぐん)に属していました。 三面を山に囲まれ椹野川(ふしのがわ)が貫流する内陸の盆地になぜ県都が…?との疑問も湧くわけですが、南北朝のころの周防は大内氏の所領で、…

山裾の緑もなだらか三瓶山 島根県

三瓶山(さんべさん)は島根県中央部にある6つの峰のトロイデ型火山で、大山隠岐国立公園の一部になっています。 『出雲国風土記』には佐比売(さひめ)山とあり、八束水臣津野命(やつかみずおみづのみこと)が「国来々々(くにこ、くにこ)」と引き寄せた国…

天狗と水は洛北の守護神 鞍馬山

京都の鞍馬寺は平安の昔から洛北の守護神として信仰が厚い寺とされています。 市内の出町柳駅から京福電鉄(今は叡山鉄道かな)で鞍馬駅まで行き、その後は中腹のお寺まで上がるケーブルカーがあります。が、そのときはケーブルカーには乗らずに徒歩で登った…

光る太陽 花野を越えて 走れやまなみハイウェイ

やまなみハイウェイは昭和39年(1964)に九州に開通した観光道路です。 九州の真ん中の高原地帯を縫うように走るドライブウェイで、くじゅう連山や阿蘇山などの雄大な山並の景観を楽しめます。 1964年といえば、東海道新幹線の開通や、東京五輪開催でも話題…

遊覧船で巡る備讃瀬戸 鷲羽山

鷲羽山(わしゅうざん)は岡山県児島半島南端部の下津井(しもつい)にある名勝地で、瀬戸内海国立公園の一部をなしています。 側らには瀬戸大橋(本四連絡橋 児島・坂出ルート)が架かっています。 鷲羽山とその周辺 一本松付近から下津井港を望む(当時の…

電気科学館のプラネタリウム 大阪

大阪には仕事か用件か遊びでしか行かないので、旅の写真はほとんどありません。 数枚あった貴重写真もどこかへいってしまいました。 プラネタリウム 唯一、フラネタリウムの写真があるので、それを掲載。 大阪市立電気科学館 これは入館記念にもらった写真で…

市街地に近いカルスト台地 平尾台国定公園

平尾台は北九州市小倉南区にあるカルスト台地です。 JRでは西小倉駅から日豊線・日田彦山線に入って、石原町駅で下車します。 小倉駅からだと30分ぐらいでしょうか。石原町駅からは平尾台行きのバスも出ているようです。 ただ、当時はバスが運行していたの…

思い入りつつ 鎌倉散歩

鎌倉へ行ったのは2度だけで、そのうち1度は修学旅行です。 鎌倉大仏 高さ11.36m、総重量121t 金銅製。 元は東大寺のように大仏殿の中にあったのですが、明応7年(1498)の津波で大仏殿が倒壊したとのことです。 それ以後は露仏のままで、大異山高徳院清浄…

天逆鉾が語る記紀神話の世界へ 霧島

宮崎県のえびの高原は前に書いているので、重複するところもありますが、今回は霧島市です。 韓国岳から新燃岳・高千穂峰を望む(当時の観光案内から) 霧島国立公園は鹿児島県・宮崎県にまたがる火山群を中心とした雄大な自然美で知られる景勝地で、古代の…

金烏城に美術館 岡山県

岡山市 岡山駅は乗り換えのためよく利用していますが、市内で訪れたのは後楽園と岡山城ぐらいでしょうか。岡山城も遠望だけだったかな? 後楽園 岡山藩主・池田綱政が造った庭園。兼六園・偕楽園とともに日本三名園とされる。 後楽園 南門へ出ます。 岡山城 …

わかりにくい神話をあえて考える

《 目 次 》 1.蘇民将来と荒ぶる天神①~武塔天神~ 2.蘇民将来と荒ぶる天神②~牛頭天王~ 3.蘇民将来と荒ぶる天神③~素戔嗚尊~ 4.春霞の彼方に~倭大物主神はだれ~ 5.瀬織津姫はいかにして天照大御神になったか? 6.伊豆三嶋大社祭神の神話と…

若戸大橋を渡って高塔山へ行こう 若松

開通当時の若戸大橋 (絵葉書) 昭和37年(1962)9月26日に開通した若戸大橋。当時は東洋一の吊り橋といわれ、赤い色が印象的でした。 若戸大橋の架橋により、翌年2月10日に北九州5市が合併して、新しい100万都市の北九州市が誕生したのです。全国的な豪…

高田敏子とその詩業

詩人の高田敏子は大正3年(1914)生まれ。女性の生活に根ざした平易な詩を書いて広く読者の共感を得「台所詩人」「お母さん詩人」とも呼ばれた。 たしかに、台所で書かれたり、子供に向き合う母としての愛情から生まれた詩も多い。 しかし、初期にはモダニ…

天台宗延暦寺を訪ねて 比叡山

滋賀県の大津方面から比叡山へ行くには、京阪電鉄で坂本まで行き、坂本ケーブルで延暦寺へ上がります。 京都方面からだと、出町柳駅から叡山電鉄で八瀬比叡山口まで行き、叡山ケーブルとロープウェイを乗り継いで山上駅まで上がります。そのあとはバスまたは…

指宿から桜島へ 鹿児島

指宿に行ったのはいつだったかな? たしか…11月だったね。 開聞岳 カラー写真も色あせて、ずいぶん変色してしまった。 それでも…開聞岳は開聞岳。 長崎鼻 崎の風にないて散る 浜木綿かなし恋の花 薩摩娘は長崎鼻の 海を眺めて君慕う 「南国情話」の歌は、当…

東照宮と杉並木 日光

「日光を見ずして、結構というなかれ」 と、いわれるので、2度ばかり行きました。 といっても、東照宮と中禅寺湖ぐらいですが。 中禅寺湖 たしか、外国の大使館などが、いっぱい別荘を建てたところですね。 名産品でしょうか。木組み細工を土産に買って帰り…

冬の福知山トレッキング 北九州

福岡県北九州市・直方市・田川郡にまたがる標高901mの福知山。この地域のトレッキングコースの高峰として人気があります。 この日は北九州市の八幡駅からバスで田代(たしろ)まで行き、田代から山歩きを始めました。 その後、尺岳(しゃくだけ)を経て福知…

伊豆三嶋大社祭神の神話と史実を探る

三島大社祭神の疑問 三嶋大社は静岡県三島市大宮町に鎮座し、祭神は大山祇命と事代主神の二柱である。 それ以前の三嶋大明神は伊豆半島の白浜に祀られていた。後后といわれる伊古奈比咩命(いこなひめのみこと)神社と同所に祀られていたが、その地は下田で…

『砂の女』と貝殻節 鳥取砂丘

水森かおりさんの「鳥取砂丘」は、声域が合っていい歌ですね。 鳥取砂丘に行ったのは、もう、ずいぶん前のことでした。 リフト 砂丘へ出ると 日本海が見える リフトに乗らないで、歩いて砂丘を登りましたが、砂に足を取られて、越えるのがたいへんでした。 …

懐かしきころの道後公園と市街 松山市

春や昔十五万石の城下かな 道後公園は松山市の道後温泉近くにある都市公園です。 古くは中世伊予の守護大名・河野氏の居城があったところで、低い丘になっています。外周はその湯築城(ゆづきじょう)の外堀に囲まれています。 明治期に初代の道後湯の町町長…

崇福寺と西海橋 長崎②

崇福寺(そうふくじ) 長崎市にある黄檗宗(おうばくしゅう)の寺の一つで、中国様式。国宝や重文の建物があります。 江戸時代初期の寛永6年(1629)に、長崎在住の福建省出身者が中心になり、福建省から僧の超然を招いて創立したと説明されています。 その…

能島水軍と鳩子の海 山口県上関町

上関町は山口県熊毛郡の南東部に位置する町で、周防灘に突き出た室津半島の南端と、その南東に位置する長島、長島の西にある祝島(いわいしま)、長島の南に浮かぶ八島を中心に、半島部と島しょ部から形成されています。 江戸時代には北前船や、参勤交代の九…

瀬織津姫はいかにして天照大御神になったか

瀬織津姫(せおりつひめ)は記紀には登場しない神なので、普段はあまり聞かない名前だし、聞いたことがあるとしても、その実像までは分からないと思う。 大祓詞 瀬織津姫の名が認められるのは、大和朝廷の儀式において祭祀を司る中臣氏が、参集者の前で読み…

春霞の彼方に ~倭大物主神はだれ?

三輪山をしかも隠すか春霞 人に知られぬ花や咲くらむ ~『古今和歌集』 紀貫之 ~ 三輪山の大物主神の実像も謎に満ちている。今回はそれを少し考えてみることにした。 ◎ 大神神社の由緒と『出雲国造神賀詞』 奈良県大神神社の由緒によると、三輪山の祭神は三…

火山と湖 神話の景観美 えびの高原

えびの高原から霧島へ 霧島国立公園(現在は霧島錦江湾国立公園の一部になる)は宮崎・鹿児島両県にまたがる霧島火山群を中心とする高原地帯で、景観に勝れているため、九州でも屈指の観光地になっています。 えびの高原 温泉ホテル 霧島国立公園のうち、宮…

東山界隈を歩く 京都

東山三六峰草木も眠る丑三つ時、突如起こる剣劇の響き! 活弁の時代劇で有名な台詞。子供のころに何遍も聞いたことがあり、チャンバラごっこをするときにも、みんな口癖のように真似ていました。維新前夜の尊皇・佐幕の時代劇でしょう。 京を流れる鴨川の東…

蘇民将来と荒ぶる天神 ③ ~素戔嗚尊~

「蘇民将来説話」は素戔嗚尊(すさのおのみこと)の物語だともいわれる。素戔嗚尊は牛頭天王・武塔天神と習合されているからである。 素盞嗚神社の由緒 広島県福山市の素盞嗚神社は天武天皇時代(679年)の創建とされ、神社の説明では、吉備真備が当地から分…