鄙乃里

地域から見た日本古代史

わかりにくい神話をあえて考える

伊豆三嶋大社祭神の神話と史実を探る

三島大社祭神の疑問 三嶋大社は静岡県三島市大宮町に鎮座し、祭神は大山祇命と事代主神の二柱である。 それ以前の三嶋大明神は伊豆半島の白浜に祀られていた。後后といわれる伊古奈比咩命(いこなひめのみこと)神社と同所に祀られていたが、その地は下田で…

瀬織津姫はいかにして天照大御神になったか

瀬織津姫(せおりつひめ)は記紀には登場しない神なので、普段はあまり聞かない名前だし、聞いたことがあるとしても、その実像までは分からないと思う。 大祓詞 瀬織津姫の名が認められるのは、大和朝廷の儀式において祭祀を司る中臣氏が、参集者の前で読み…

春霞の彼方に ~倭大物主神はだれ?

三輪山をしかも隠すか春霞 人に知られぬ花や咲くらむ ~『古今和歌集』 紀貫之 ~ 三輪山の大物主神の実像も謎に満ちている。今回はそれを少し考えてみることにした。 ◎ 大神神社の由緒と『出雲国造神賀詞』 奈良県大神神社の由緒によると、三輪山の祭神は三…

蘇民将来と荒ぶる天神 ③ ~素戔嗚尊~

「蘇民将来説話」は素戔嗚尊(すさのおのみこと)の物語だともいわれる。素戔嗚尊は牛頭天王・武塔天神と習合されているからである。 素盞嗚神社の由緒 広島県福山市の素盞嗚神社は天武天皇時代(679年)の創建とされ、神社の説明では、吉備真備が当地から分…

蘇民将来と荒ぶる天神 ② ~牛頭天王~

牛頭天王(ごずてんのう)については、寛永11年(1934)に古本を書写した『祇園牛頭天王御縁起』に、浄瑠璃浄土の薬師如来が牛頭天王として垂迹したとある。 その起源は、古代インド神話によると世界の中心に須弥山(しゅみせん)があり、その中腹に豊穣国が…

蘇民将来と荒ぶる天神 ① ~武塔天神~

京都八坂神社の主祭神は明治の神仏分離令以後は素戔嗚尊、それ以前は牛頭天王と習合されていた。牛頭天王は疫病を司る神で、蘇民将来の説話がある。 しかし、牛頭天王以前は武塔(ぶとう)天神の名でも祀られていたという。 上記の三神は、一般には同一神と…