鄙乃里

地域から見た日本古代史

地域から見た日本古代史(序)

  はじめに

 日本古代史の理解は、まず中央の史料など、誰もが入手可能な共通の歴史資料を基礎にすることが必要です。それは地域との連携のためにも大切な条件です。しかしそれだけでは個々の事実に関する具体的な情報が不十分であり、研究者の想像に依存する割合が高いだけに、解釈の相違により諸説が乱立する結果にもつながっています。
 一方でそれぞれの地域にはその地特有の史料・伝承が残されていて、それが日本全体の古代史と深い関連性を有する場合も少なくないと思われます。
 もちろん、その地域の史料が必ずしも正確とは限らず、いろいろな伝承にしても,年月の経過により歪曲され誇張され変質してしまっているケースもありえます。また住民の郷土愛などから、牽合附会の説として定着している場合も皆無とは言えないでしょう。その点は、他の地域や中央の史料により逆検証される余地が大いにあると思います。
 その上で、これまであまり行われてこなかった地域からの日本古代史へのアプローチが、古代史の新たな窓を開いてくれる契機にもなりうるのではないか。そのような観点から、このブログを考えてみました。
 ただ、地域といっても、ここでは筆者の郷里に関係がある、ごく狭い地域だけの情報に限られ、その内容も微々たるものですが、全国から各地の情報が集まれば互いに関連性のある史料が蓄積され、それらを総合的に比較検討する作業の中から、既説にはなかった新しい発見も可能なのではないかと期待されます。
 上記のことを念頭において、共通の史料による話題も交えながら、覚書風の短文として書きとめてみたいなと思っています。なにぶん浅学のため的外れな内容もあるかもしれませんが、ご訪問・コメントなどいただけると幸いです。