鄙乃里

地域から見た日本古代史

夜景と電波塔 北九州のシンボル 皿倉山

 北九州市の八幡地区を代表する622.05mの皿倉山。山頂は見晴らしがよく送信所や無線基地の電波塔がたくさん建っています。

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  市街地から見た皿倉山

 近くの帆柱山(488m)には神功皇后伝説もあるなど文化的・歴史的にも優れた景勝地で、市街地から近いため、夏の週末などは、ハイカーや夜景を楽しむ人たちで賑わいます。


 山頂に登るにはいろいろなルートや方法がありますが、通常は八幡東区尾倉に山麓駅があるケーブルカーを利用します。そばに登山道の上がり口もあるのですが、歩くと1時間半から2時間ほどかかります。

 最近は自動車道も整備されて8合目までは登攀可能らしいですが、カーブが多く離合しづらい個所があったり、駐車場も十数台分で、金・土・日は時間帯により通行規制があるなど注意が必要。それに現在は途中で通行止めらしく、事前によく確認していくか、車では行かないほうがいいでしょう。慣れない人はケーブルカーが無難です。山上駅までの全長1100mをわずか6分ほどで上がります。

 

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 ケーブルカー山上駅

 尾倉のケーブルカーは現在は皿倉山ケーブルカー」といいますが、旧称では「帆柱ケーブル」と呼ばれ、今と同様に山麓駅から山上駅までケーブルカーで上がり、そこから徒歩で10分ぐらいで皿倉山頂に登っていました。

 しかし、今は山上駅からも、スロープカーとかいう全面ガラス張り車窓の乗り物が運行されているらしく、これに乗り継ぐと楽に山頂まで上がれるそうです。

 

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 野口雨情の詩句

 ケーブルカーの山上駅を下りて少し歩いた山側だったでしょうか、大きな岩に野口雨情の詩句を刻んだ石版が埋め込まれていました。神功皇后と熊鰐の話を書いているのですが、現在もあるでしょう。

野口雨情先生は、「赤い目の人形、からす、あの町この町、雨降りお月さん、こがね虫」などの童謡をつくられた有名な詩人で、昭和七年五月、帆柱山に登られてこの歌をつくられたのです
          一九五七年       八幡市

 北九州市発足前の八幡市の説明です。

 野口雨情は茨城県生まれですが、昭和7年に小倉の童話作家・阿南哲朗の案内で皿倉山に登ったときに、この詩を作ったのです。

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一人乗りのリフト

そうか! そうだった。

山上駅から、山頂までのリフトが
当時も、あったんだ!

乗らないから、完璧に忘れていた。

ここが、今はスロープカーに変わっているんだね。

でも、歩かないと、雨情の詩碑は、見られないと思う。 

 

 

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 そうそう。これが、リフト乗り場だったと思います。
 スキー場にある一人乗りのブランコのようなリフトですが。

 

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 皿倉山山頂

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 電波塔

 皿倉山頂には送信施設電波塔がたくさんあります。周囲に高い山がなく、障害物がほとんどないので、電波の中継には適していますね。

 

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 展望台だったかな?

 

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 皿倉山山頂から望む北九州の町

 真下が八幡の市街地。洞海湾の左向こうが若松。右が戸畑。小倉・門司へと続きます。

 日本の高度経済成長期をダイナミックに支えた八幡・戸畑・若松の大工業港運地帯。とくに石炭や鉄は産業の米と呼ばれ、あらゆる二次産業・三次産業の母体となる基幹産業として、現在以上に重要視されていました。

 もちろん現在は、こんなスモッグまみれではありません。
 山頂からの夜の眺めはすばらしく、函館・神戸・長崎の向こうを張って、新日本三大夜景百億ドルの夜景として人気があるそうです。関門海峡のほうまで見えるとのこと。

 でも、この写真の時代には、そこまではありませんでした。
 たしかに工場地帯の灯りや炎は夜でも広がって見えていたでしょうが、市街地のほうは現在ほどの明るさはなく、彩りにしても、今とは比べものにならないと思います。第一、夜間にまでケーブルが動いていかどうかも分からないから、わざわざ苦労して山頂に上がって夜景を眺める人などいたでしょうか?

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 同じく山頂で

 皿倉山頂には徒歩で1回、ケーブルで2回上がりましたが、観望のほかにも河内貯水池福知山へ向かうルートでもあるため、休日などは、いつも多くの登山客で賑わっていました。

 皿倉山は、地元の町にとって、いろいろな意味でシンボル的存在といえるのではないでしょうか。






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