鄙乃里

地域から見た日本古代史

田植え作業今昔

 気まぐれ随想録『赤とんぼ』


  田植え作業今昔

 

 田植えの準備期になりました。あちらこちらの田で代掻(しろかき)を始めています。

 代掻きをしたり、水を入れたり、肥料を撒いたり、農家は朝早くから夕方まで忙しそうです。まもなく田植えも始まるでしょう。

 


 自分たちが子どものころの田植作業は、まず牛に鋤(すき)を取りつけ、手綱で叩いたり「どう、どう」と合図しながら鋤を引かせて、一列ずつ田を掘り起こしていました。

 レンゲソウなどは漉き込んで肥料にします。

 苗代(なわしろ)は別に作っておいて、田に水が入ると、大型の熊手のような鋤を、これも牛に引かせて土を細かく柔らかくしながら平坦にならします。

 いよいよ田植え当日には、田植え定規といって、桟木をマス目に組み合わせた六角形の円筒状の農具を手で転がしながら印を付け、そこに苗を植えつけていきました。

 うちは農家ではありませんが、近くに田があって、田植え時になると農家は猫の手も借りたいほどの繁忙期に入るため、何度か田植えを手伝ってあげたことがあります。

 苗束は植えるときに農家の人が投げてくれるのですが、素人で慣れないため腰をかがめた状態が続くとすぐに腰が痛くて伸びなくなったり、田の泥に足を取られて動きにくく、少し進むのもたいへんです。

 何よりもイヤだったのは、足に蛭(ひる)が吸いつくことでした。何か変だと思ったら蛭が吸いついていて、引っ張っても足から血が垂れるだけで、なかなか離れないのです。

 また、収穫は収穫で手間がかかるし、楽ではありません。一昔前のお百姓さんはそんな苦労を重ねながら米を作っていたわけですから、農機具が揃った今は田植えといっても比較になりませんが、お米はやはり大切に、おいしくいただきたいと思います。

 

                   



(注:ブログの写真は過去に撮影したものもあります)