鄙乃里

地域から見た日本古代史

新幹線物語 ② ~『妻たちの新幹線』~ 

 1964年東京オリンピック開会式直前の10月1日に、ついに、さまざまな難題を乗り越えて東海道新幹線の東京・新大阪間が開通したのでした。

 しかし、その出発式の席上に、十河さんと島技師長の姿は見られませんでした。

 十河さんは、他の列車事故と過大な開発費の責任を取らされて次期国鉄総裁に再任されず、島技師長も開発にめどがついた段階で、十河さんのあとを追って自ら身を引いていたのでした。それでも前総裁の十河さんは祝典のほうには呼ばれていましたが、島技師長は祝典にも呼ばれませんでした。

  
 この間の事情は、数年前にNHKで放映された『妻たちの新幹線』というドラマで紹介されていたので、ご承知の方もおられるでしょう。 

  島技師長(中村雅俊さん)の高速鉄道開発への熱い思いと苦悩にスポットを当ててドラマが展開されていましたが、実際は十河総裁(伊東四朗さん)とのチームワークによるものであり、またタイトルにある二人の妻たちの表面に出ない献身や、島技師長の部下とか、島の息子・溝端淳平さん)たちの複雑な思いと葛藤が重層的に描かれていました。                                           

 
 島技師長の妻・豊子さん南果歩さん
は仕事に打ち込む技師長の苦悩や家庭を明るい笑顔で支え、十河総裁の妻・キクさん加賀まりこさんはワンマンな夫を心配しつつも、穏やかに接して見守っていました。

 高速鉄道の開発一筋に打ち込む夫たちを裏で支え続けた妻たち、それぞれの穏やかな生き方にも焦点が当てられていたように思います。



「妻たちの新幹線」のすべて 溝端淳平

youtu.be  『妻たちの新幹線』のすべて 溝端淳平 


 NHK名古屋放送局テレビ放送60年記念
 スペシャルドラマ『妻たちの新幹線』2014年10月25日放送の[予告編] 

 かと思います。

 島技師長は新幹線開発以前から様々な機関車・電車の設計に関わっており、退職後は宇宙開発事業団でロケット開発にも携わるなど、日本の優れた技術者・プランナーであり、その長年の功績に対し勲一等瑞宝章が、そしてのちには文化勲章が授与されました。1969年にはジェームズ・ワット国際ゴールドメダルも受賞しています。

 島技師長の一家は父・安二郎の代から技術者の家系でした。




 0系運転室  国鉄道文化館北館




(つづく)